何年たっても思いだしてしまう時間
あなたにはありますか?私は・・・

07/01/2019日記

夏の終わりのこのときに。
思いだす景色はありますか?

この曲を聴くだけでそこに戻れる……
そんな曲があなたにはありますか?

テレビをみていたら、LINEのCMが流れてきました。
あなたもみたことがあるはず。

そのCMで流れていた曲は……
フジファブリックの『若者のすべて』です。
印象的な歌詞ですよね。

私はこの曲を聞くと、思いだす時間があります。

中学生のころの河口湖。
といっても河口湖に住んでいたわけではなく……。

河口湖音楽祭

というお祭りに参加したことがあります。

河口湖で音楽祭とそのままなのですが、県下の中学生が世界的に有名な指揮者である佐渡裕さんに指揮をしてもらえるんですよ。

中学生特別バンドとして。
それも県下の中学生なら誰でもOK!

山梨に住んでいて吹奏楽部の人なら、募集のポスターも見たことがあるかもしれませんね。

とはいえ、そこに申し込むくらいなんだから「ふーん、そんなに上手かったんだ」とあなたは思うのではないでしょうか?

いえいえ、それがですね……。
全然上手くなくて、下手でした。
それも笑っちゃうくらいに。

部内での集会では顧問の先生に名指しで「おまえはもっと練習しなければならない!!」と言われたこともあるくらいです。

「あー、辞めたいな……」

毎日そう思っていました。
辞めたいと思わなかった日を数えたら、片手でおさまっちゃうんじゃないかな。

音楽なんて嫌いになっていて、聞きたくもなかった。
放課後はみんながだしている音を聞きながら、部室の扉をくぐるのが嫌でいやでしょうがなかった。

そんな中学生でした。

「じゃあ、なんで河口湖音楽祭に参加したの?」

そう思いますよね?

それは……。
友だちからの誘いを断りきれなかったから。

「えっ、いかないの?なんで?」ってそう言われてしまったら、行きたくない。って言えなかったんですよね。

そのひとことが言えず、参加しました。
嫌とは言えない中学生でした。

特別な時間

私たちの最終舞台は佐渡裕さん指揮での演奏でした。
その舞台にむかって練習します。

合宿もするんですよ。

そして練習します。
朝も昼も夜も。ずっと。

山梨県に住んでいる中学生が集まって。
しかも、ひとつのバンドとして演奏する。

そんなことはなかなかありません。

はじめて会う人もたくさんいました。
そこでできた友だちもいて……。

はじめましてな友だちとひとつになって、たったの数十分のために練習を続けるわけです。
あの合宿のあの時間は、特別でした。

前夜祭

河口湖音楽祭は河口湖ステラシアターで行われたのですが、もちろん、お祭りなので前夜祭的なものがありました。

わたしたちは4つのチームに分けられ、電車のなかで演奏したり、富士山の5合目(だと思う)で演奏したり、ショッピングセンターのなかで演奏したり……。

音楽祭の一員として盛りあげました。

わたしはショッピングセンターで演奏するグループでした。
そのグループでもさらに分けられ、舞台のうえには3人だけ。
たしか、そのときに初めてアンサンブルをしました。

まばらでしたが、わたしたちを見てくれているひとがいて。
パイプいすに座って、しっかり聞いてくれるおばあちゃんもいて。
拍手の音がして。

なんだか気持ちよかった。

音楽なんて嫌いだった私が、音楽で拍手をもらっているんです。
不思議でした。

その日は、5合目のせいで酸欠ぎみになっている友だちや電車酔いが抜けない先輩と今日の話をしながら、合宿所のベッドで眠りました。

舞台

河口湖音楽祭。
河口湖ステラシアター。
中学生バンドの私たちの舞台もそこにありました。

はじめましてだった私たちが、音楽を通じて集まって。
音楽でつながって、音楽でひとに感動を与える。

わずかな時間をかがやくために、それに見合うだけの時間を注ぎこもうとしました。

そうして立った舞台です。
スポットライトがまぶしかった。
キラキラしていて、本当にまぶしかった。

もう客席なんて見えなくて。
見えるのは指揮者だけ。
でもその輝きが、私たちの気持ちを高めていました。

『今このとき、1番いい音がでていますように。この時間が終わらないで』
そんなことを本気で思ったりしました。

そして、舞台が終わったひかえ室のような場所。
中学生バンドの夏は終わってしまいました。

やりきった充実感とさみしさが押しよせて。
みんな泣いています。

私もその1人でした。

何年たっても思いだしてしまう景色

『若者のすべて』を聞くと、そのときの時間を思いだします。

はじめて河口湖に降り立ったときのこと。
知らないひとたちばかりで緊張したこと。
夜遅くの練習になんだかドキドキしたこと。
ショッピングセンターで演奏したときのこと。
スポットライトがまぶしかったこと。

この瞬間が終わらないでと、本気で思ったこと。

その時間が頭のなかに流れていきます。

私の。
私だけの。

何年たっても、思いだしてしまう時間です。

あなたには……そんな景色がありますか?
この曲を聴くだけでそこに戻れる……。

そんな曲がありますか?
若者のすべてを聞いたら、あなたはどんな時間を思い出しますか?

【2018/10/6 追記】

記事を書き直しました。

07/01/2019日記

Posted by hanami yozakura