あなたが何気なく消費している時間は、誰かが今も描いている夢のような時間かもしれません

07/01/2019日記

戦場カメラマンの渡辺陽一さんの講演会に行ってきました。

台風が近づいていたので天気が悪かった。
行くまでが大変でしたが、今でも心に残っている時間になりました。

講演会の内容

  • 戦場カメラマンになった経緯
  • どうして戦争は起こってしまうのか
  • 戦場に生きる子どもたちの声
  • 質疑応答

の流れでした。

渡辺さんと聞いて思い出すのは、ゆっくりとしたあの独特なしゃべり方ですよね。
講演会でもそのしゃべり方は変わらず。
それに加えてボディランゲージがものすごく大きくて、ステージを常に動きまわる姿が印象的でした。

ピグミー族に会いに

渡辺さんが戦場カメラマンを志したのは大学生時代のとある経験からでした。

授業の中でアフリカの広いジャングルに『人間の言葉を理解するチンパンジー』がいること。
弓矢と槍を使って、鳥やチンパンジーを捕まえて生活をしている部族がいることを知ります。

ピグミー族と呼ばれる部族です。

ピグミー族を見てみたい。
会ってみたい。
話をしてみたい。

その一心でアルバイトで貯めたお金を使いジャングルに行ったそうです。

しかし見つけることはできなかった。
代わりに小さな子供たちが銃をもって戦っているところに遭遇しました。

泣きながら。
血だらけになりながら。
戦っているのを。

その子どもたちは渡辺さんに「助けてください、助けてください、助けてください」
服を掴んで何度も助けを求めてきましたが……。

まだ20歳だった渡辺さんには何もすることができなかった。
子どもたちを助けることも一緒に戦うこともできませんでした。

自分に出来ることは一体何だろう……?

それ以来、渡辺さんは「自分に出来ることはなんだろう?」と考えるようになりました。

もともと趣味で好きだったカメラ。
そのカメラを使って、今もなくならない戦場の写真を撮る。
そうすれば、そこで生きる人の姿をたくさんの人に伝えることができるのではないか。

戦場カメラマン。
それが渡辺さんのルーツです。

学校に行けるのは当たり前のことではない

お話の中で一番心に焼き付いているエピソードです。

ある日、現地の子どもたちが渡辺さんに質問をしてきたそうです。

「日本では学校に誰でも行けるというのは本当?」
「給食は本当にあるの?」
「教科書って何冊あるの?誰でも手に入るの?」

日本では義務教育として誰でも学校に通うことができます。
ご飯の心配もしなくていい。
教科書は望まなくても、もらえます。

日本では当たり前のことですが、戦場で生きる子供たちにとっては夢のような国なのです。

平日は学校に行って、日曜日は家族とお出かけをする。
外で買い物をしたり、美味しいご飯を食べる。
夜は家族みんなでテレビを見ることができる時間。

そんな"当たり前"がある国はまだまだ少ないようです。

日本に生きていて学校に行けることが当たり前だと思っていた私にとっては、ものすごく焼き付いているエピソードです。

たまたま日本に生まれて、学校に通うことができました。
たまたま戦場に生まれて、学校に通うことができない。

あなたが何気なく消費している時間は、誰かが今も描いている夢のような時間かもしれません。

どの写真も『現実』でした

渡辺さんの作品が20点ほど展示されていました。

放射線を浴びて苦しんでいる子供を眺める母親
空腹をコカインでごまかそうとしている男性
爆破で飛び散ったガラスの破片が顔に刺さってしまっている女の子

中でも衝撃的だったのは、どこかに行ってしまわないようにレンガに足をくくりつけられている子供の姿でした。
子どもといってもようやく歩けるようになった赤ちゃんくらいに見えました。

お母さんが1日中仕事に行っているので、いなくならないようにするためだそうです。

レンガにくくりつけられていては、子供はレンガの周りを回ることしかできません。

近くの石や砂で遊ぶことに飽きて途方にくれているのか。
それとも、レンガにくくりつけられることが当たり前だから、何も感じていないのか。

その表情は子供のものではありませんでした。

どれも私の生きている場所では見ることがない姿です。
しかし、どの写真も『現実』を写している写真なのです。

勉強できることは幸せなこと

1つ1つ見ていると、近くの大学生の2人組の会話が聞こえてきました。

「反省したわ」
「何を?」
「勉強できるって幸せなことだったんだな」
「だな……」

当たり前のことは当たり前すぎて、気づくことすらできません。
その当たり前に気付かせてくれた渡辺さんの言葉には強い力がこもっていました。

経験から来る言葉は強い。

07/01/2019日記

Posted by hanami yozakura